恒隆のLVブティックで試しに肩にかけた瞬間、「あ、もうお財布は守れない」と悟りました。あのダチョウ革のトリミングは、まるでクラシックなモノグラム・キャンバスに夕暮れの光を差し込んだよう。手首で揺れるビーズチェーンに合わせて、照明までウインクしてくる──これがバッグだなんて、とんでもない。まるでパリ左岸の気だるいエレガンスをそのまま縫い込んだアートピースです。
今では、私の生活を彩る“モバイル・パレット”になっています。
朝8時、スタバのフラペチーノとサンドイッチを入れても全然かさばらない。ミントグリーンのライニングは、まるで青いブドウをひと口かじったような爽やかな手触り。午後、企画書の締切に追われながら、9インチのタブレットも充電器もコスメポーチも全部放り込んで、ファスナーを「カチッ」と閉めた瞬間、残業さえも少し特別に感じられる。いちばん心を掴まれたのはキーケース。もうカバンの中で鍵を探してイライラすることもなし。名前が刻まれたあのメタルプレートに触れるたび、小さなプレゼントをもらったみたいな気分になるんです。
週末、愚園路でショップ巡りをしていたら、このバッグを見た3人の女の子に「リンク教えてください!」と声をかけられました。ビーズチェーンを二重にして肩にかければ、ちょうど24cmの長さがウエストのいちばん細い位置にぴたりとフィット。片手で持つと、トロン・ハンドルがほんのり温かく、陽射しを受けたダチョウ革の模様が影までも踊らせる。カメラ、折りたたみ傘、そして野良猫用の缶詰を入れても、友達にもらったマカロンまでしっかり収まる。重さわずか0.8kgで、2万歩歩いても全然疲れ知らずの相棒です。
今では、その香りまでもが“私の香り”になりました。ハンドクリームのシダーウッド調に、ふと触れた香水の残り香が混ざって、金属のファスナーさえも優しい艶を帯びている。クレジットカードを切った瞬間は息が詰まるほど痛かったけれど、毎朝クローゼットを開けて、そこに静かに佇むこのバッグを見ると──あぁ、今日もちゃんと生きようって思えるんです。










